たまごを食べる時には、食中毒を避けるために実は特別な注意が必要です。たまごを安全に美味しく食べるために、たまごを買い、調理、保存する時に誰もが気をつけるべきポイントをわかりやすく解説いたします。また、玉子と卵の違い、サルモネラ菌や大腸菌に関して、薬剤師の観点から、重要なポイントをお伝えします。是非ご覧ください。
【たまご】とは?たまごのメリットとデメリットについて
たまごには、生命の元になる栄養素が全て含まれているといわれていることから、
たまごは、完全栄養食品として知られています。
しかし、たまごを産む鶏の体には、総排出腔(そうはいしゅつくう)、または総排泄腔(そうはいせつくう)と呼ばれる器官があります。
どういうことかというと、総排出腔をもつ動物では、
排泄物(糞や尿)も、たまごも同じ穴から体外に排泄されるのです。
そのために、普通、鶏が たまごを産んだ場合、
卵の殻に、糞や尿がくっつくのはもちろんのこと、
稀に、卵の中身に、糞や尿が交じることがあります。
食中毒の原因菌のひとつ サルモネラ菌とは?
鶏は、対策を講じていない場合、糞中にサルモネラ菌が存在しています
サルモネラ菌(Salmonella )とは、
グラム陰性通性嫌気性桿菌の腸内細菌です。
ちなみに、人間の大腸の中にいる大腸菌(Escherichia coli)も、
グラム陰性通性嫌気性桿菌の腸内細菌です。
グラム陰性 グラム陽性 グラム染色について
グラム陰性というのは、
【グラム染色法で、菌が紫色に染まらないということ】
(実際には、染まらないんじゃなくって、赤色に【染まる】んだけど、
とにかく、【紫色】に【染まらなかったら】、
陰性ということになっている)を意味しています。
つまり、グラム染色法で、菌を染めてみて、
菌が紫色に染まるとグラム陽性、
菌が紫色に染まらず、赤く見えるとグラム陰性
であると判断するわけです。
グラム染色というのは、実質、菌の細胞壁に存在する【ペプチドグリカン】の量を調べている作業になります。
グラム染色法で使う染色剤は、
【ペプチドグリカン】という物質によく染まる性質を持っているので、
ペプチドグリカンという物質が、細胞壁に十分 分厚く存在している場合、
グラム染色法で染色することによって、その菌は、赤く染まります。
逆に、ペプチドグリカンが十分に薄い菌の場合、
グラム染色法で用いる紫色の染色剤で染まる部分が薄いため、
染色剤で染まらなかったと判断し、
【グラム染色陰性】と表現します。
とまぁ、さらっと、簡単に書きましたけど、
【グラム染色】って、めちゃくちゃ手間がかかって、難しいんですよ!
実験で学生のころに実際に グラム染色をやってましたけど、
既に述べたように、グラム染色で染まるか染まらないかは、
菌の細胞壁のペプチドグリカンの量に依存するんですよ。
ただしですよ?、ペプチドグリカンの量が十分に分厚くってもですよ?、
染色にかける時間が短かったり、温度が適性でなかったりしたら、
その菌は紫色には染まらないわけです。
そのとき、分類上は、グラム染色陽性菌でも、
グラム染色で染まらなかったら「グラム陰性菌」と判断してしまいますよね!?
しかもですよ、グラム陰性の菌であっても、
ペプチドグリカンは、薄い とはいえ、細胞壁に存在するのです。
だから、染色に掛ける時間が長すぎたり、
染色剤のすすぎ洗いが十分でないと、
「グラム陰性菌」でも、「染まった」ように見える、つまり、
「グラム陽性」として判断したくなるんですよ。
それに、染まったのか染まってないのかの判断自体が難しいんですよ!
紫色寄りの赤色と、赤色寄りの紫色とを見分けないといけないんです。
しかも、すすぎ洗いで、洗いすぎて、
観察したい菌ごと洗い流してしまい、観察したい菌が、
どっか(下水管の中に)行っちゃう、ということもしばしばです(汗)。
そしたら、顕微鏡を除いてみても、「菌が無い!」と叫ばないといけないんです(泣)
だからねー、この菌が「グラム陽性菌」なのか、
「グラム陰性菌」なのか、というのは、
過去の文献をみて、
【今扱っている菌は「グラム陰性菌」なのだ、あるいは「グラム陽性菌」なのだ】という
先入観がないと、実質、ただしい判断をできません(汗)。
通性嫌気性(つうせい けんきせい) とは?
嫌気性には二種類あります。「通性嫌気性」と「偏性嫌気性」です。
嫌気性というのは、酸素を嫌うという意味です。
ただし、酸素があっても生きていくことができ、
酸素を利用してATPというエネルギー物質を作り出し、
酸素が無い状況では発酵によってエネルギーを得られる生物ものを通性嫌気性といいます。
これに対して、大気レベルの濃度の酸素(約21%)に曝露(ばくろ、さらされること。
「暴露」の漢字を使うと意味が違うので注意。
wiki ペディアも間違った漢字が使われていることがある。
正しくは、「曝露」です。)されると、死滅してしまうものを、「偏性嫌気性」と呼びます。
サルモネラ菌は、通性嫌気性菌なので、酸素があっても生きていけますし、
酸素がなくても、生きていける、ということを意味しています。
嫌気性の対義語は「好気性(こうき せい)」
嫌気性の対義語は、好気性です。「好気性」というのは、
糖や脂質を酸化して(燃やして)エネルギーを得るために
酸素を利用するもののことをいいます。
あと、ついでに、生物のエネルギー産生(さんせい)の時に
「呼吸」という言葉が出てくる場合、
この「呼吸」とは、「息をフガフガ吸ったり吐いたりすること(外呼吸)」ではなく、
「生物体内で、ATPを産生する(内呼吸)」ことをいっています。
専門用語というのは、普段の生活で使われる単語と全く違いますし、
使うことがあっても、意味がかなり違う事が多いので、
注意が必要ですね。
でも、専門用語を使うことは良いことです。
その方が、意味がはっきりわかりますし、誤解も生みません。
専門用語がわからないなら、ひとつずつ学んで覚えていけばいいだけの話ですから。
桿菌とは?
「桿菌」といわれれば、それは、細胞の形状が
細長い棒状または円筒状であるということを意味しています。
桿菌とは違う形状の菌としては、例えば、
球菌(球体の形状の細胞の菌)や、
らせん菌(らせん状の細胞の菌)などがあります。
球菌の一例に、黄色ブドウ球菌がありますし、
らせん菌の一例としては、スピロヘータがあります。
ということで、
【サルモネラ菌が、グラム陰性通性嫌気性桿菌 である】というのは、「グラム染色法で、(紫色には)染色されず、(グラム陰性)
酸素が通常の大気濃度存在する状態であっても、酸素がない状態であっても、
栄養などの条件が揃えば、生きていくことができ、(通性嫌気性)
細長い棒状または円筒状の菌である(桿菌)」
ということを言っています。
改めて思いますが、熟語って、便利ですよねか~。
漢字という文字のコンセプトを、中国から取り入れ、改良して日本語に取り入れ、
欧米の進んだ生物学を訳して新たな日本語を新たに創作して熟語を作り出してきた。
日本語は、非常に短い文字列で、非常にたくさんの意味を、
正確に、誤解なく表現できるので、便利ですね。
だって、日本語で、「サルモネラ菌は、グラム陰性通性嫌気性桿菌である。」
と書いただけで、これまでの説明を全部含んでいるわけですからね!
やっぱり、漢字は捨てるべきじゃないですし、
ヘブライ語由来のカタカナも外来語表記に必要ですし、
アルファベットだって使える。
漢字と漢字の間にひらがなで埋めればOK。
文字表記には便利な言語です。
あと、日本人て、一般的に、耳からの情報よりも、
目からの情報の方が扱いに慣れていると思います。
識字率も高いですし。
日本では、電話よりはメールの方が好まれる。
漢字の「卵」と「玉子」の違いとは?
ちなみに、「たまご」を表現するとき、漢字には二通りあって、
「卵」と「玉子」と書けます。一体どう違うんでしょうか?
どちらも「たまご」と読みますが、実は、明確な意味の違いがあります。
まず、大前提として、「卵」の方が、一般的で、広い意味があります。
卵子(らんし)、精子、とか、恐竜の卵、などのように、
生物学的な話をするときには、
「卵」の方をもっぱら用います。
これに対して、「玉子」は、調理に用いる卵であって、
特に、鶏の卵を指すことが多いようです。
また、現在では、加熱調理が終わったもの鶏の卵であれば、
「玉子」の方が好んで使われるようです。
加熱調理が終わる前であれば、鶏の卵で食用であっても、
「玉子」とは書かず、「卵」の方が使われることが多いようです。
ということで、同じ「鳥類」という分類に入るものから生まれた「たまご」であっても、
鶏のたまごでなければ、
うずらの卵、ダチョウの卵 のように、
「卵」の方が使われます。
同様の理屈で、鶏の卵からつくった【たまごやき】は、
「玉子焼き」と書きます。
「たまご」というメスのお腹の中から出てくる「卵」ですが、
「玉子」の方は、鶏の卵で特に加熱調理が終わったものに使われる漢字なので、
「玉子」ではなくて「卵」の漢字を使うべき所で、
間違っても「玉子」という漢字を使わないように気をつけましょう。
さもないと、「え?君、それ食べるの?」ということになりかねません。
外国で卵のパックを買う時の注意点とポイントとは?
産卵の日付や消費期限の新しいものを選ぶ。
海外、特にトルコでは、卵を包んでいる紙パックに記載の日付と、
玉子そのものに直に印字されている日付が、
大きく異なることがあります。
でも、「これ、オカシイだろ?」って訴えたところで、
どうにもなりませんし、トルコ人は全然気にしませんので、
パカっと紙パックを開けて、日付が古いのが混じってないか、
を確認すると良いです。
外国の卵パックの中の卵は大抵割れているか、
ヒビが入っている場合が多いので、
紙パックを開けて確認するべし
また、トルコで売られている卵パックには、大体1個か2個は、
割れたりヒビが入ったりしているのが混じっています。
卵15個入りの1パックで、
だいたい1つか2つは割れているということは、
確率論的には、
おおよそ、8から15パックほどの開けてチェックしてみると、
どれも割れていない卵パックを見つけることができるということです。
この方法は、私がスーパーで買い物をしているときに、横の見知らぬおばさんが
卵のパックをぱっくりあけて、確認していたので、
「あーそうすればいいのか」と気付いたわけです。
生活の知恵ですなぁ。
たまごを保存する時のポイントとは?
サルモネラ菌は8℃以下であれば、増殖しにくいといわれています。
8℃以下で、冷蔵庫で保存するようにしましょう。
また、バイ菌は、指数関数的に増殖します。
分裂を繰り返していくから、そうなるんですよね。
自分が死ぬ前に自分の子孫を1世代生み出す
みたいな呑気な増え方はしません。
バイ菌は、自分の分身を作っていくのです。
だから、倍・倍に増えていきます。
しかも、分裂したら、自分の年齢がゼロ歳に戻ります。
2倍、4倍、8倍、16倍、32倍、64倍・・・という感じですね。
倍に増えるから「バイ菌」というわけではありませんが、
バイ菌は、時間が経つと、爆発的にどんどん増殖してしまいます。
それで、なるべく、早く、バイ菌(ここではサルモネラ菌)が増殖してしまうまえに、
消費してしまうようにしましょう。
卵・たまご・玉子に関するまとめ
- 外国で玉子は生で食べないほうが身のため。
- 【卵】は生物学的な話で、【玉子】は加熱調理の終わった鶏の卵を指して用いられることが多い
- サルモネラ菌は、グラム陰性通性嫌気性桿菌 である
- バイ菌は、時間軸に対して、倍・倍に増殖してゆく。
- 外国で卵を買うときは、紙パックを開けて、2点 中身を確認した方が良い。
- 買った卵を冷蔵庫で保存し、なるべく早く消費してしまうのがいい。
以上を念頭において、美味しいたまご料理をお楽しみ下さいませ。
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